ダイエットで激やせから過食症に。お菓子の過食が止まらない。

ほとんどの摂食障害(拒食、過食)は、ダイエットから始まることが多い。「私もあんなきれいなボディーになりたい」と、あこがれから食事を制限し出す。男性からみた美しい女性の体型を目指すということか。いろんなケースがあるが、わかりやすい例を一つ紹介しよう。

晶子は19才。大学に入ってボーイフレンドもでき、キャンパスライフを楽しんでいた。彼は部活の先輩。ESSの夏合宿で同じグループになったのがきっかけだった。「彼といるときはね、英語で話しするのよ。私がつまったら彼がすぐに教えてくれるの。すごく英会話うまいのよ」。彼の話をするときは晶子の目は輝いていた。

このままでいけば本当に楽しい学生生活になるはずだった。それがなぜこんな「過食症」というやっかいな落とし穴にはまってしまったんだろう。晶子は泣きながら面接室で話してくれた。

ダイエットを始めたきっかけはボーイフレンドの言葉

「私だってそんなに太ってるほうじゃないんです。ちょうどいいかなって思えるくらいだった。それが映画を見に行ったあと、彼が『やせた女の子っていいな』って一言ポツンといったのが耳に残って。そりゃアンジェリーナ・ジョーリーのボディーは最高にきれいだったわ。家に帰ってからもアンジェリーナのウエストや足の細さが目にちらついて。「そうか彼は「やせた女の子が好き」なのか。それじゃもっとやせて彼にもっと好きになってもらいたい」って思ったの」。

食物のカロリー計算にとりつかれだした

ご飯は一杯だけにして、おかずを多めに。お野菜ならいくら食べても太らないだろう。こんな軽い気持ちでダイエットは始まった。しかしこれでは一週間たってもなんの変化もない。

なんとかしなくてはと、次に考えたのは、まず太りやすい食べ物はやめよう。炭水化物を含むごはんやおいもはいっさいとらない。甘ーいチョコレートやアイスクリームなどのお菓子類もダメよ。これでどうだ。一週間頑張ってみた。すると50Kgあった体重が48Kgに。「うわー、体重が減ってる。バンザイ!やっぱり頑張ったかいがあるんだわ」

晶子は今まで味わったことのない快感にとらわれた。自分の意志で自分のからだをコントロールできる。そして彼の好きなやせた女の子になれる。「そうだもっともっとやせてやろう。そしたら彼は私のことをもっともっと好きになってくれるだろう」。そこで目を付けたのが食品のカロリー成分表ののっているダイエットの本。その日から晶子のカロリーとの戦いが始まった。「えーと、ワカメは○カロリーだからよし。ほうれんそうは栄養がありすぎるから白菜にしよう。お酢の物なんかは○カロリーと低いんだな」。こんな具合に毎日の食事がきわめて低カロリーの食事に変わっていった。

体重が7kgも減って、激やせに

一月たったころ、晶子はカロリーの本で確認してからでないと食事が食べられなくなっていた。そしてとうとう電子計りを購入して食べ物を一つ一つはかりだした。心配した母親の「晶子、あんたそれは異常だよ」という声と表情は、うとましく払いのけたいほどだった。

「体重はみるみるうちに減っていって、48Kgだったのが45Kg切り出した。43Kgぐらいになったとき彼がこう言ったの。『晶ちゃん、なんかやせすぎてない?激やせだよ。もっと食べなきゃ』。「何をかってなこと。啓次が『やせた女の子が好き』っていったから、私も頑張ってやせようとしてるんじゃないか。それをいまさら」。むかついて、むかついて晶子は気持ちがおさまらない。

甘い物(お菓子)を突然食べだして、今度は止まらなくなった

頑張ってやせたのに、私のこともっと好きになってほしかったのに。くやしい。なんのためにこんなに苦労してやせたのか。晶子の心の中で何かが音をたてて崩れていった。

やせて味わった晴れ晴れとした快感は、なんとなく遠くの出来事のようだ。お昼ご飯を食べ終えて、ふと目にとまったチョコレート。今までテーブルにあっても「食べてはいけない項目」の一つだったから気にしないようにしていた。それがどういうわけか甘い物が食べたい。「太るからだめ」「いいやん、一つだけなら」「あとで運動すればだいじょうぶ」いろいろな思いがせめぎ合って、晶子はとうとう手をのばした。

もう結果は書くまでもないだろう。この日から晶子のダイエットは崩れてゆき、過食と太る恐怖に悩まされる毎日となったのだ。

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子どもの自傷行為(リストカット):家族療法のカウンセリング治療

まじめで頑張りやさん、甘えやホッとするもの探しでリカバリー

明るく話していた有香が、手首を切った(高一)

「あのね、きょう先生にほめられたんよ。みんなの前で」と、有香はうれしそうに夕食のあと母親に話した。「数学の試験な、一番やってんて」「え、ほんま、よかったやん」「私、がんばるで。今度の試験も」「そうか、えらいな、有香は。がんばりや」。こんな会話を親子で楽しくかわして、有香は自分の部屋へ入っていった。母親はうれしかった。高校に入ってから急に勉強しだした。「○○大学へいくんや」と、将来の希望も話していた。ところがその夜、たいへんな事がおこった。有香が手首を切ったのだ。

母親は有香につきそいながら「なぜこんなことするのか、わかりません」と、おろおろ。あんなにうれしそうに話してたのに、明るくがんばるって言ってたのに。診察を受けた医院で有香は平然として答えた。「なんか切りたくなっただけや。血みたら、スーッとしたわ」。初めてのことで、傷はさほど深くはなかったが、幾筋ものためらい傷が痛々しい。深い心の悩みを感じてというのでもないのか。しらけた気持ちと表情はとりつく島がなかった。

母親の「がんばりや」の一言が引き金に?

診察を受けた医院の紹介で有香はカウンセリングをうけることになった。リストカット(自傷行為)で大事なことは「くり返さないこと」。一度やると二度、三度と切る傾向がある。初めのうちはおそるおそるだが、だんだん大胆になり傷が深くなるので要注意。

有香を引き受けたカウンセラーは、明るい心の裏にある鉛の固まりは何かをさぐっていた。有香は頑張りやさん。勉強も部活も手を抜くということを知らない。できない自分は許せない。こんな気持ちで突っ走ってきた。志望校に合格してから、特にこの思いが強くなっていた。カウンセリングがすすむにつれ、有香の口からぐちとも不満とも取れる発言がこぼれだした。

「お母さんのうれしそうな顔を見たかったんや。良い子にしてへんと、捨てられるって。小さいときから、そんな思いがしみついてた」と。「私、お母さんきらいちがうで。好きや。そやから喜ばせたかったんや。ええ高校に入ったんもそうやし、勉強がんばったんもそうや。けど、お母さんいっつも私にゆう言葉決まってんねん。『がんばりや』や。これ以上がんばれと言うのか、あの夜そない思い出したら頭ボーッとして、なんかわからんようになって」。ようやく有香の心の裏にある鉛の固まりが、溶けだしたようだ。

頑張りやさんに必要なホッとできる息抜き法

「肩の力をぬけるかな。今まではがんばる有香さんだけでしたが、これからはリラックスもできる有香さんも加えていきましょう」と、カウンセラーは有香に語りかける。

今までの有香の生き方が行き詰まってきている。「がんばるか、手首を切るか」という、極端な二者択一の生き方しか知らない。「がんばるのはいいが、無理なく自分の本質を生かしながら元気がでる道を見つけられるか。ホットできる息抜き法がみつかるか」と、この二つが立ち直りの決め手になるだろう。

ホッとできるものさがし」やってみよう

肩の力を抜くといっても、今までずーとがんばるだけのやり方できた子にとって、そう簡単なことではない。英語の勉強をするとか部活でテニスをするとか、がんばってやることは得意だが、エネルギーをつかわずにできることは難しい。「何もしないで、空をボーっと見上げてるって、こんなことでもいいんですが」と、カウンセラーは「ホッとできるものさがし」のこつを話した。

カウンセラーは面接の度ごとに「ホッとできるものは、見つかりましたか」を、くり返して聞いた。「いいえ、まだ」と、答える有香に新たな課題が。「じゃこんどはお母さんと一緒に話しあいながら見つけてきて下さい」。母親との会話を促進して、お互いの親密感を高めようというのがねらいだ。

「ホッとできるもの」は、猫の背中なでること

半月たっての面接は、母親だけの参加であった。有香は面接のあと、母親と話し合いながら自分なりのリラックス法をみつけようとした。「エネルギーを使わないで、なんか気持ちが和らぐもの」・・・・・「お母さん、私にはそんなものないわ」と、有香はいらいら。そこへかわいがっている猫のミーコがやってきた。背中をなでてやると、ゴロゴロのどをならしてからだをすり寄せてくる。「よしよし、ミーコだけやな、私の気持ちわかってくれるの」。有香はなでてやりながら、話しかけていた。そんな様子をみていた母親は「有香ちゃん、ひょっとして、あんたのホッとできるものって、ミーコの背中なでてやることちがう?」。

答えが見つかった。「そうか、これが私のホッとできるものなんか。たしかにそうやな。背中なでてたら、いつのまにか気持ち落ち着いてる」。有香は納得できる発見をしてから、イライラしたり勉強をしたあとは、意識してミーコの背中をなでるようにした。

この発見が有香にゆっくりとした生活のリズムを教えたようだ。有香のリストカット(自傷行為)は、不思議にもその後なりを潜めている。母親の言葉によると、「たまにはリスカしたら、スッキリするやろか」とつぶやくが、実行するつもりはないと話しているらしい。

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